
BtoBマーケティングのおすすめ解説書『儲けの科学』
BtoBマーケティングの本を探していると、Web広告やMAの操作方法を解説する本は見つかっても、営業や商品開発まで含めて事業全体を扱う本は限られます。どこから読むか迷うところですよね。
部門ごとの施策を覚えるだけでは、見込み客が商談や受注へ進む流れは見えにくいものです。マーケティングの成果を売上や営業活動と結びつけて考えたい方には、全体像を扱う実務書が役立ちます。
その視点でおすすめしたいのが、庭山一郎さんの『儲けの科学 The B2B Marketing』です。営業との連携から組織や技術の役割まで、BtoBマーケティングを一続きの仕組みとして解説しています。
本の概要
| 書名 | 著者 | 出版社 | ページ数 | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|
儲けの科学 The B2B Marketing | 庭山一郎 | 日経BP | 480ページ | 2,750円 |
参考価格は2026年9月28日時点のAmazon価格です。販売時期によって変わるため、購入時の表示を確認してください。480ページの本なので、短時間で要点だけ読むより、テーマごとに腰を据えて読み進める一冊ですね。
本書は、マーケティング施策の個別手順にとどまらず、日本企業の現状を俯瞰し、戦略、営業との連携、人材や組織、技術の活用へと話を広げています。日経BOOKプラスでも、BtoBマーケティングの全体像を学ぶ本として紹介されています。
著者は庭山一郎さん。刊行時、著者の会社は本書を、マーケティング部門・営業部門・ものづくり部門の実務者や、リーダー・経営層に向けた実務書として紹介しました。部門をまたぐ課題を扱う構成です。

営業との連携
BtoBの商談では、問い合わせや資料請求が増えても、それだけで受注が伸びるとは限りません。営業が必要とする情報と、マーケティングが渡す見込み客の情報がずれていれば、引き継いだ後の動きも鈍くなります。本書では、この接続部分を大きなテーマにしています。
目次には、営業に寄り添うアラインメント、営業生産性の向上、売上の方程式とホールファネルが並びます。リード獲得数に加え、商談化や営業活動との関係も扱う内容です。
たとえば、資料請求が増えているのに営業が「商談につながらない」と感じている会社では、件数を増やす前に、渡す相手やタイミング、営業側のフォローを見直す必要があります。本書の営業連携の章は、部門間で成果の定義が食い違う状況を整理する手がかりになります。
営業とマーケティングの責任範囲を考える立場にも向いています。どの段階で誰が顧客に働きかけるのか、話し合うための共通テーマが得られるでしょう。営業責任者と一緒に読む価値もあります。
施策を戦略へ戻す
MAを導入したのに、メール配信の道具としてしか使われていない。そんな課題も、本書の目次で取り上げられています。ツールを顧客や営業の流れにどう組み込むかを考える構成です。
また、STPが苦手なために市場で苦戦する問題や、オペレーションに偏って戦略が弱くなる問題も扱います。広告、展示会、メールを別々に評価する前に、どの顧客へ何を届け、事業のどこへ結びつけるかを考え直します。
本書では「DoV-STP-M-D」という基本フレームワークも章題に掲げられています。自社の顧客価値や市場、メッセージ、需要創出を整理する枠組みとして読むと、各施策の役割をつかみやすくなります。
マーケティング担当になったばかりの方には、略語や組織用語が少し重く感じられるかもしれません。営業や商品企画で困っている場面と照らしながら読むと、内容を実務に結びつけやすくなります。
組織を横断して考える
本書は、マーケティングを専門部署の仕事だけに閉じ込めません。目次には、ものづくりにマーケティングナレッジを生かす章や、CMOとCROの役割、マーケターの選び方・育て方が含まれています。
製造業や専門サービス企業では、顧客の要望や営業の知見が商品企画に十分届かないことがあります。顧客接点で得た情報を、営業資料やサービス開発へどうつなぐか。本書の部門横断の視点は、そうした課題を経営や組織の話として捉え直す材料になります。
さらに、デマンドセンターからMOps、RevOpsへの進化、ABM、PRMといったテーマも登場します。個々のツールの使い方を網羅する内容というより、需要創出や顧客・パートナーとの関係を担う組織がどう変わるかを扱います。
そのため、Webマーケティングの具体的な画面操作や、広告媒体の設定手順をすぐ知りたい方には、期待とずれる可能性があります。実務で使う設定マニュアルを探しているなら、別途ツール別の解説書が必要です。本書の価値は、戦略と部門連携について考える論点にあります。
読み応えと価格
480ページあるため、入門書としてはボリュームがあります。BtoBマーケティングを広告やリード獲得の視点で捉えてきた方には、営業、商品開発、組織運営をつなげて考えられる点が読み応えになるでしょう。
参考価格は2,750円です。自社の課題に関係するテーマをいくつか読み、部門間の議論に持ち込める一冊です。チームで共通理解をつくる場にも活用できます。
発売から時間が経っているため、デジタル技術や組織運営の最新事例を追う場合は、刊行後の情報も確認したいところです。ただし、顧客理解、営業連携、戦略と施策の関係を考える本として読めます。
結論
BtoBマーケティングを、広告やMAの運用だけでなく、営業との連携や商品開発、組織づくりまで含めて理解したい方には、『儲けの科学 The B2B Marketing』がおすすめです。480ページの読み応えはありますが、部署を越えて受注や営業生産性を考える材料を求める方には、内容と価格の釣り合う一冊でしょう。
短時間で施策の操作手順や広告運用の設定だけを知りたい方には、実務手順に特化した本が合います。マーケティングの打ち手が営業や事業成果につながらない理由を考えたいなら、本書を手に取る価値があります。
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