
スプレーガンの塗料カップ交換|重力式・吸上式とG1/4・G3/8の見分け方
スプレーガンの塗料カップが割れたり、接続部から塗料が漏れたり、洗浄や色替え用に予備を足したくなったりすると、カップだけ買い替えたくなりますよね。
G1/4とG3/8は、塗料カップの取付部にも使われる、ねじ部分の太さが先端まで変わらない「管用平行ねじ」の呼び名です。ところが、この表記だけでは適合は決まらず、ハンドル下のエア入口を塗料入口の規格と取り違えることもあります。
合うカップを確かめるには、手元のスプレーガン本体の型番を起点に、重力式・吸上式などの方式、塗料が通る接続口、ねじ山が外側にあるおねじか、穴の内側にあるめねじかまで順に照らし合わせ、最後に純正カップ型番を一致させましょう。容量や材質を比べるのはその後です。
目次
塗料カップ交換前の残圧解除と使用中止
カップを外す前に、コンプレッサーからの圧縮空気と塗料・シンナーの供給を止めてください。残圧とは、供給を止めた後もガンの通路や容器内に残っている、空気や塗料の圧力です。
圧力の抜き方は機種で異なるため、取扱説明書にある引金や抜気弁の手順に従ってください。作業場所は十分に換気し、火やヒーター、火花が出る物から離れ、保護眼鏡と塗料・溶剤に合うマスク、手袋を着けてください。
別置きタンクなどから塗料を送る圧送式や、容器に圧力をかける加圧式は、通常の直付けカップと同じ手順では扱えません。残圧の抜き方が分からない、供給を止めても圧力が残る、カップや本体に傷・亀裂・変形がある時は、交換を中止してメーカーや販売店へ相談してください。
スプレーガン3方式は本体型番で区別
スプレーガンは塗料の送り方で重力式・吸上式・圧送式に分かれ、上や側面のカップから自然に流すのが重力式、下のカップから吸い上げるのが吸上式、別置きのタンクやポンプから送るのが圧送式です。
カップの位置は方式を探る手掛かりになりますが、方式が同じでもカップに互換性があるとは限りません。本体のメーカー名と型番を控え、取扱説明書に記載された塗料供給方式と純正カップ型番を確かめてください。
重力式は上・側面カップの本体形式まで照合
ガンの上や側面にカップがあれば、塗料そのものの重さで送る重力式の目印になります。ただし、位置だけで決めず、本体型番を末尾まで読み、メーカーがその型番向けに指定するカップを確かめてください。
吸上式は下カップの蓋・吸上管まで照合
吸上式は、ガンの下に付いたカップから、カップ内の管を通して塗料を吸い上げる方式です。交換品は容器だけでなく、蓋、塗料を吸う管、空気穴まで本体型番と照合してください。旧カップの部品をそのまま流用できるとは限りません。
圧送式は直付けカップ交換の対象外
圧送式は、別置きのタンクやポンプから、塗料ホースを通してガンへ塗料を送る方式です。ガンにカップを直接取り付ける交換とは構成が違うため、直付けカップの交換へ進まず、タンク、ポンプ、ホース、ガンの取扱説明書に従ってください。
スプレーガンの塗料入口とハンドル下のエア入口は同じG1/4でも別物
塗料入口は、カップや塗料ホースから来た塗料がガンへ入る接続口です。エア入口は、コンプレッサーから送られた圧縮空気が入る接続口で、多くのハンドスプレーガンではハンドル下にあります。
塗料入口は機種によってガンの上・側面・下部にあるため、カップの位置と取扱説明書の部品図を見比べ、「塗料入口」や「塗料ニップル」と書かれた場所を確かめてください。ハンドル下に付くエアホースの規格は、そのまま塗料カップの規格として扱えません。
アネスト岩田のW(LPH)-101は塗料入口とエア入口の両方がG1/4ですが、W(LPH)-200は塗料入口がG3/8、エア入口がG1/4です。G1/4という表記が合っていても、エア側の規格なら塗料カップの適合確認に使わないでください。
G1/4とG3/8はおねじ外径で見分ける
塗料入口を特定した後は、その接続部がG1/4かG3/8かを見分けてください。山数は25.4mmの長さにあるねじ山の数、ピッチは隣り合う山同士の間隔、おねじ外径は外側にねじ山がある側の最も太い部分の直径です。
| 呼び | 山数(25.4mm当たり) | ピッチ(山の間隔) | おねじ外径の基準寸法 |
|---|---|---|---|
| G1/4 | 19山 | 約1.3368mm | 13.157mm |
| G3/8 | 19山 | 約1.3368mm | 16.662mm |
どちらも25.4mm当たり19山で、ピッチも約1.3368mmと同じため、山の間隔だけではG1/4とG3/8を判別できず、「1/4」や「3/8」はねじ外径をそのままインチ換算した数字でもなく、G1/4を6.35mm、G3/8を9.525mmと解釈するのは誤りです。
清掃したおねじの外側をノギスで測る方法は、約13.2mmか約16.7mmかを確かめる二次確認にとどめ、最終判断には本体型番とメーカー図面に記載された塗料入口径を使ってください。
G1/4・G3/8が同じでも雄雌は別条件
ねじ山が外周に出ている側がおねじ(雄ねじ)、穴の内側にねじ山が切られている側がめねじ(雌ねじ)です。G1/4同士、G3/8同士でも、おねじとめねじが対になる形でなければ接続できません。
ガン側とカップ側は別々に見て、「ガン側はG1/4のおねじ」「カップ側はG1/4のめねじ」のように記録してください。通販の商品欄にG1/4やG3/8としか書かれていない場合は、おねじ・めねじを推測せず、図面や「スプレーガン側取付ねじ」の説明を確かめる必要があります。メーカーが承認していない変換ジョイントで、おねじ・めねじや規格を無理に合わせないでください。
関連記事:
・エアブローガンのノズル交換|G1/8・R1/8ねじと長型・ゴムノズルの選び方
本体型番と純正型番の次に容量・材質
ねじ径とおねじ・めねじまで合っても、まだ塗料カップの適合は確定しません。本体のメーカー名と型番を控え、メーカー公式の適用カップ一覧にある純正カップ型番と、旧カップの刻印や品番を一致させてください。
純正カップ型番まで一致した後は、容量、カップを付けた時の重さ、材質、蓋、パッキン、吸上管などの付属部品を確かめてください。容量が大きいほど塗料を補充する回数は減りますが、ガンが重くなり、重心や傾けられる角度も変わります。
メーカーの公式例には、重力式に130〜700ml、吸上式に400〜1000mlのカップがありますが、容量だけで方式、ねじ規格、互換性は決まりません。ステンレス、アルミ、樹脂などの材質名だけで全ての塗料や洗浄用溶剤に対応すると断定せず、塗料の危険性や扱い方をまとめた安全データシート(SDS)と、カップ・ガンのメーカー仕様を照合してください。
アネスト岩田WIDER2・W-77用の塗料カップ
アネスト岩田のWIDER2とW-77には、G3/8接続の重力式カップと吸上式カップの公式例があります。ねじ径が同じでも方式と容量が違うため、G3/8という表記だけで別のガンへの流用を決めないでください。
アネスト岩田PCG-6P-3は重力式600ml
PCG-6P-3は、アネスト岩田がWIDER2とW-77向けに示している、容量600ml、G3/8接続の重力式樹脂カップで、少量カップより塗料の補充回数を減らしたい作業に向きます。
600mlの塗料を入れるとその分だけガンが重くなり、重心や傾けられる角度も変わります。
購入前に本体型番がWIDER2かW-77であることを確かめ、公式図面で塗料入口がG3/8であることと、ガン側・カップ側のおねじ・めねじまで一致させてください。

アネスト岩田PC-1は吸上式1000ml
PC-1は、アネスト岩田のWIDER2とW-77向けの、容量1000ml、G3/8接続の吸上式カップで、塗料を補充する回数を抑えたい作業に向きます。
吸上式はカップ本体だけでなく、蓋と吸上管を含む構成で塗料を送るため、これらの部品も旧カップと照合してください。また、1000mlの塗料が加われば、ガン全体の重さも増えます。
購入前に本体型番がWIDER2かW-77であることを確かめ、公式図面で塗料入口がG3/8であること、ガン側・カップ側のおねじ・めねじ、蓋と吸上管の構成を照合してください。

塗料カップ交換前後の照合と漏れ点検
本体に適合するカップでも、取り付け前の現物照合と、取り付け後の漏れ点検は必要です。どちらかで違和感や異常があれば、そのまま塗装を始めず使用を止めてください。
交換前は型番・ねじ・蓋・吸上管を照合
旧カップと新品を横に並べ、本体とカップの型番、ねじ径とおねじ・めねじ、蓋、パッキン、吸上管、空気穴の形や位置を照らし合わせてください。蓋や吸上管は似ていても、メーカーが互換を示していなければ旧品から流用できるとは限りません。
ねじをまっすぐ合わせて手で回し、数山が滑らかに入らない、斜めになる、がたつくといった違和感がある時は、そこで取り付けを中止してください。力任せにねじ込まず、締付けトルク、シール材、パッキンなどの部品を再使用できるかは、本体とカップの取扱説明書・部品表に従ってください。
交換後の漏れ・がたつき・異常噴霧
取り付け後は、本体の取扱説明書に記載された確認順序と指定圧力に従い、カップ、蓋、接続部を点検してください。
塗料漏れ、息切れ、がたつき、通常と違う噴霧が一つでもあれば、すぐに使用を止めてください。空気と塗料の供給を止め、取扱説明書どおりに圧力を抜いてから、メーカーや販売店へ相談してください。
まとめ|塗料カップは純正型番まで一致させる
塗料カップは、方式やねじ径だけで決めず、本体に指定された純正カップ型番まで一致させてください。確認する順番は、①本体のメーカー名・型番、②方式、③塗料入口の位置、④G1/4またはG3/8とおねじ・めねじ、⑤純正カップ型番、⑥容量・材質、⑦交換後の漏れ・がたつき・異常噴霧の点検です。
アネスト岩田WIDER2・W-77では、商品名より先に本体型番と公式図面で方式、塗料入口、G3/8とおねじ・めねじを確かめてください。重力式で600mlが必要なら、アネスト岩田PCG-6P-3がおすすめです。吸上式で1000mlが必要なら、アネスト岩田PC-1がおすすめです。
どちらを取り付けた場合も、交換後の点検で異常があれば使用を止めてください。
スプレーガンの塗料カップ交換でよくある質問
上カップの重力式スプレーガンを、下カップの吸上式へ変更できますか?
形式を組み替えられるシリーズもありますが、カップの位置やねじ径だけでは変更できません。本体型番の末尾と公式部品表を確認し、吸上式への変更と必要部品が明記されていない場合は付け替えないでください。
センターカップの取付ねじがM16×1.5なら、G1/4やG3/8のカップを付けられますか?
M16×1.5とG1/4・G3/8は同じねじ表記ではないため、そのまま取り付けられません。メーカー公式一覧にはセンターカップでG1/4めねじやM16×1.5おねじの例があり、雄雌も分かれます。本体型番に指定されたカップを使い、未承認の変換継手で合わせないでください。
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