
剪定鋏のバネ交換|V型・U型など種類と適合サイズの見分け方
剪定鋏のバネが外れたり折れたり、握った後の戻りが弱くなったりすると、すぐに同じ大きさの替バネを探したくなります。ただ、長さや見た目が近いだけでは適合するとは限らないため、買う前に本体のメーカーと型番を確かめ、公式に対応するバネ品番を探すのが確実です。
V字に開くバネでも、グリップ側に掛かる端の形はL受け・I受け・U受けなどに分かれます。「U型」はV型と並ぶ別の種類ではなく、メーカーの呼び方では「V型U受け」という端部形状です。
型番が読めないときは、外れたバネを捨てず、刃の刻印と左右の取付部、ピンや溝の形を写真に残しておきましょう。バネが正常に見えるのに刃が重い場合は、ヤニ汚れや支点の不具合も考えられるので、購入前にバネだけの故障かを確かめておくと買い直しを防げます。
目次
バネを買う前に、開かない原因を切り分ける
握った後に刃が開かないからといって、必ずしもバネが原因とは限りません。バネが折れている、片側が欠けている、脱落して見当たらないといった状態なら、バネ交換の対象になりやすいでしょう。
点検するときは刃を閉じてロックし、刃先に触れないようにしてください。バネだけでなく、左右のピンや溝、バネを受ける部分まで見ると、交換で直る状態か判断しやすくなります。
| 見えている状態 | 考えられる原因 | 次にすること |
|---|---|---|
| バネが折れている、片側が欠けている | バネそのものの破損 | 取付部に異常がなければ交換対象。本体のメーカーと型番を確認する |
| バネが外れている、脱落して見当たらない | バネの外れ・紛失 | ピン・溝・受けに欠けや変形がないか確かめ、問題がなければ指定バネを探す |
| ピンが折れている、溝や受けが欠けている | バネを保持する取付部の破損 | バネだけでは直らないため使用を止め、メーカーや刃物店へ相談する |
| バネは残っているが、刃や支点にヤニ・樹液汚れが固着している | 汚れによる動作不良 | メーカーが案内する方法で清掃し、無理にこじ開けない |
| バネは正常に見え、センターネジ周辺だけが固い | センターネジの締めすぎなど、支点調整の不具合 | むやみに分解せず、メーカーや刃物店へ調整を相談する |
| ロックが変形している、解除しても刃が開かない | ロック機構の故障 | 使用を止め、修理できるか確認する |
| 刃が曲がっている、刃に隙間がある、支点がぐらつく | 刃または支点の破損・摩耗 | 使用を止め、本体の修理または交換を検討する |
バネの折れや脱落が確認でき、取付部にも異常がなければ、次は鋏本体のメーカーと型番を確かめましょう。原因を判別できない場合は無理にバネを付けず、全体と取付部の写真を添えてメーカーや刃物店へ相談する方が安全です。
替バネは鋏本体のメーカーと品番から探す
替バネは、外したバネの長さではなく、鋏本体のメーカーと品番から探すのが確実です。刃やグリップに残っている文字をよく見て、次の順に手がかりを集めましょう。
- 刃の平らな面にあるメーカー名、ロゴ、数字、英字を読む
- グリップの内側、ストッパー周辺、支点付近の刻印やシールを探す
- 購入時の箱や台紙、取扱説明書に本体品番が書かれていないか確かめる
- 通販で買った場合は、Amazonなどの購入履歴から当時の商品名と品番を確認する
- メーカーの公式部品表で、本体品番に対応するバネ品番を調べる
文字が消えていて品番を読めない場合は、見た目だけで似たバネを注文せず、写真を添えてメーカーへ問い合わせる方法があります。次の4枚を明るい場所で撮っておくと、本体と取付部の状態が伝わりやすくなります。
- 刃を閉じた鋏全体
- 刃に残っている刻印やロゴ
- センターネジを含む支点まわり
- 左右のバネ受けと、ピン・溝の形
たとえば岡恒では、No.101・180mmの指定バネはNo.421、No.103・200mmとNo.104・210mmはNo.422です。アルスも同じ120系で共通ではなく、120S-7・120S-8は999120S03、120B・120DXは999120DX01と分かれています。見た目や鋏の全長が近くても別部品になるため、本体品番まで確認してから受け形状を見比べてください。
V型のL・I・U受け、ムシ型、コイル型は取付部が違う
剪定鋏のバネは、大きな形で見るとV字型とコイル型に分かれます。ただし、V字型には端部の違いがあり、メーカーの商品名では「V型L受け」「V型I受け」「V型U受け」などと呼ばれています。「V型かU型か」という二択ではなく、V型のどの受け形状かを見るのが正確です。
V型なら、バネだけでなく両端が掛かるグリップ側の受けも見てください。ムシ型とコイル型では、本体側のピンや取付位置まで一致している必要があります。
| 公式呼称 | 見る場所 | 例 | 選ぶ時の注意 |
|---|---|---|---|
| V型L受け | V字バネの両端と、グリップ側の受け | SS-1・SS-2・SS-7 | 開き小・開き大・細は別品。本体品番まで合わせる |
| V型I受け | V字バネの両端と、グリップ側の受け | SS-3・SS-4 | 小・大で分かれるため、鋏の全長だけで決めない |
| V型U受け | V字バネの端部と、U受けになっている取付部 | SS-9 | 名称の根拠は2022年の公式カタログ。現在の適合機種はメーカーへ確認する |
| ムシ型 | 巻き部分と両端、本体側のピンの有無・位置 | SS-5・SS-6 | 小・大があり、ピンの位置や太さも合わせる |
| コイル型 | コイルの取付位置と両端の収まり | SGP-37・SGP-38用など | 機種ごとに指定品が異なる。外径や長さが近くても流用しない |
同じV型でも、L受けとI受け、開き小と大では別のバネです。形が似ていることは互換性の根拠にならないため、本体品番から公式適合を確かめ、判断できないときは旧バネと取付部を測ってメーカーへ相談しましょう。
Q. V字型とコイル型で握り心地は変わりますか?
A. アルスは、V字型を跳ね返りの感触があるバネ、コイル型を衝撃を吸収して握りが柔らかいバネと説明しています。使い心地に違いはありますが、交換時は好みではなく本体品番に指定された形を使ってください。
品番が読めないときは、取付部と古いバネを測る
本体品番を読めないときは、鋏の取付部と手元に残った旧バネを測り、写真と一緒にメーカーへ伝えます。数字だけでは測り始めた位置や部品の傷みが分からないため、定規やノギスを当てた写真も残しておくとよいでしょう。
| 本体側で測る場所 | 記録方法 | 写真が必要な理由 |
|---|---|---|
| バネを掛けるピン | ピン径と、グリップ面からの突き出し量をmmで記録する | ピンの太さだけでなく、曲がりや摩耗も確認できる |
| 左右のピン | 片方の中心から、もう片方の中心までの距離を測る | どの位置を基準に測ったかが伝わる |
| バネを収める溝 | 溝の幅と深さを測り、刃先側・グリップ端側など向きも書き添える | 溝の開き方や、欠けて広がっていないかを見分けやすい |
| 取付穴 | 穴径と、左右の穴の中心間距離を測る | 穴の形、位置関係、周囲のひびをまとめて確認できる |
旧バネは、力を加えていない状態で形ごとに必要な箇所を測ります。とくにコイル型では、自由長、外径、内径、線径、巻き数がそれぞれ別の値なので、ひとつの「バネ径」にまとめないでください。
| バネ形状 | 測る場所 | メーカーへ伝える値 |
|---|---|---|
| V型 | 左右の端から折返し部までと、自然に開いた時の幅 | 自由な状態の全長または高さ、開き幅、板幅、厚さ、左右端の形 |
| ムシ型 | 中央の巻き部分と、そこから伸びる両端 | 全長、巻き部分の外径、線径、両端の長さと向き |
| コイル型 | 力を加えていないコイル全体と線材 | 自由長、外径、内径、線径、巻き数、両端の形 |
メーカーの商品ページにある「商品サイズ」は、取付寸法ではなく、商品の外形や荷姿を示している場合があります。実測値はメーカーや刃物店へ照会するための補助であり、寸法が近いバネの互換性を保証するものではありません。合わないバネを切る、曲げる、押し広げるといった加工はせず、本体品番に対応する公式のバネ品番を確認しましょう。
公式適合表で本体品番とバネ品番を照合する
替バネを購入できるのは、メーカー、本体品番、バネ品番の3点が公式情報と一致した場合です。「180mm用」「120シリーズ用」といった大まかな表示だけで決めず、末尾の英字や数字まで見比べてください。
部品表に手元の本体がない、または刻印を読み切れないときは、似た形の汎用品へ置き換えない方が安全です。本体と取付部の写真を添え、メーカーや刃物店へ適合品を問い合わせましょう。
岡恒はNo.101ならNo.421、No.103・104ならNo.422
岡恒の剪定鋏では、本体の長さだけでなくNo.から始まる品番まで確かめましょう。No.103とNo.104は全長が違ってもNo.422を共用する一方、No.101にはNo.421が指定されています。
| 本体品番 | 指定・適合バネ | 形状 | 選択時の注意 |
|---|---|---|---|
| No.101・180mm | No.421・2本入 | Vバネ | No.103・No.104用と取り違えない |
| No.103・200mm | No.422・2本入 | Vバネ | No.104と共用。No.101には使わない |
| No.104・210mm | No.422・2本入 | Vバネ | 210mmでもNo.422。他社の210mmへ一般化しない |
本体の刻印がNo.101で、全長が180mmならNo.421が該当します。取付部の破損がないことも確かめてから選んでください。

No.103・200mmとNo.104・210mmには、共通のNo.422を使います。全長が210mmだから別の大きなバネを選ぶ、という判断はしないでください。

千吉はL受け・I受け・コイル型を本体名まで合わせる
千吉の替バネは、V型という大きな分類だけでは選べません。本体名と長さに加え、L受け・I受け・コイル型の違いまで一致させます。
| 区分 | 本体品番・本体名 | 指定・適合バネ | 選択時の注意 |
|---|---|---|---|
| V型L受け | SGP-1N | SS-1・開き小 | SGP-2N用の開き大と取り違えない |
| V型L受け | SGP-2N | SS-2・開き大 | SGP-1N用の開き小と取り違えない |
| V型I受け | 金千吉剪定鋏180mm、千吉金本鍛造剪定鋏180mm | SS-3・小 | 本体名と180mmの両方を確認する |
| V型I受け | 金千吉剪定鋏200mm、千吉金本鍛造剪定鋏200mm | SS-4・大 | 本体名と200mmの両方を確認する |
| コイル型 | SGP-37、SGP-38 | 丸型ハンドルコイルバネ | 表示適合品番以外には使わない |
SGP-1Nには、V型L受け・開き小のSS-1が適合します。似た形でも、開き大のSS-2とは分けて考えましょう。

SGP-2Nには、V型L受け・開き大のSS-2を合わせます。本体名が似ていても、SGP-1Nには使わないでください。

金千吉剪定鋏または千吉金本鍛造剪定鋏の180mmには、V型I受け・小のSS-3が候補です。本体名と180mmの両方が一致しているか確かめてください。

同じ本体名でも200mmなら、V型I受け・大のSS-4に分かれます。180mm用のSS-3を、形が近いという理由で流用しないようにしましょう。

SGP-37とSGP-38は、丸型ハンドル用のコイルバネが指定されています。外径や長さが近くても、表示された2機種以外には使わないでください。

アルスはシリーズ名の後ろまで読んで部品表を引く
アルスは、120、V、VSといった似た名称でもバネ品番が分かれています。シリーズ名だけで止めず、数字の後ろに付くS・B・DX・PROまで読んで部品表と照合してください。
| 本体 | 公式バネ品番 | 間違えやすい別品 |
|---|---|---|
| 120S-7、120S-8 | 999120S03 | 120B・120DX用の999120DX01とは別品 |
| 120B、120DX | 999120DX01 | 120S用の999120S03は使わない |
| VS-7Z・8Z・9Z、VS-7R・8R・9R、130DX・130B、140DX・140B・140L-DX | 999VS04 | V-7PRO・V-8PRO用の999VP02とは別品 |
| V-7PRO、V-8PRO | 999VP02 | VS用の999VS04と取り違えない |
| 133DX-W | 99913305 | 形が近い他シリーズのバネへ置き換えない |
120S-7・120S-8には999120S03が対応します。120S本体は廃番ですが、公式部品表では交換部品を2030年12月31日まで供給する予定とされています。

120B・120DX、VS系、V-PRO系、133DX-Wには、それぞれ別のバネ品番が指定されています。上の表に本体がない場合も、999120S03を代用せず、アルスの部品表または相談窓口で確認してください。
刃を閉じ、バネの向きを撮ってから交換する
以下の手順は、手動の片手剪定鋏を対象にしています。電動剪定鋏は構造や安全措置が異なるため、この方法で交換せず、メーカーの取扱説明書や修理案内に従ってください。
手動の剪定鋏でも、バネの取付位置や外す方向は機種によって違います。左右どちらから外すかを一律に決めず、取扱説明書に機種別の手順があれば、そちらを優先しましょう。
- 枝や土から離れた、平らで明るい台に剪定鋏を置く
- 切創を防ぐ保護手袋を着け、バネの飛び出しが心配な場合は保護メガネも用意する
- 取扱説明書を確認し、刃を閉じてロックするか、メーカー指定の安全位置に置く
- 旧バネを外す前に、全体の向き、左右の端、ピンや溝への掛かり方を写真に残す
- 新品のバネ品番を本体品番と照合し、旧バネと端部の形や取付位置を見比べる
- 顔や指をバネの戻る方向から外し、説明書に示された方法で旧バネを取り外す
- 刃ではなくグリップ側を持ち、新品の両端を指定されたピン・溝・受けへ収める。バネの切断、曲げ、押し広げは行わない
- ロックをゆっくり解除し、枝を切らずに数回開閉して、バネ端のずれや浮きがないかを見る
- 刃の開閉、ロック、支点に異常がなければ、最後に細い枝から切れ方を確かめる
強く押し込まないと入らない、装着後にバネが浮く、開閉中に外れるといった場合は、そこで作業を止めてください。取付部の破損や品番違いが考えられるため、無理に使わずメーカーや刃物店へ相談する方が安全です。
取付部の破損や刃のぐらつきがあれば作業を止める
新品バネが合わないときや、本体側に破損が見つかったときは、力を加えて交換を続けないでください。刃を閉じられる状態ならロックし、次の区分に沿って相談先を決めましょう。
| 区分 | 当てはまる状態 | 取る行動 |
|---|---|---|
| すぐ中止 | 新品バネを大きく曲げないと入らない。装着しても繰り返し飛び出す | 加工や再装着を止め、顔や手をバネの戻る方向から外す。販売店かメーカーへ、品番と取付方法を確認する |
| メーカーへ確認 | 本体のメーカー・品番を確定できない。公式適合を確認できない。ヤニを清掃しても刃の動きが重い | 写真と分かる範囲の刻印をメーカーへ送る。購入店や刃物店にも、適合部品または点検の可否を相談する |
| 本体修理・交換を検討 | ピン・溝・受けが欠けた、曲がった。刃が曲がる、隙間がある、支点がぐらつく。ロックが掛からない、勝手に外れる。取付部や支点に強い錆がある | 使用を止め、販売店・メーカー・刃物店へ修理できるか相談する。安全を確認できない場合は本体交換を検討する |
相談するときは、状態が分かる写真を先にそろえておくと話が早く進みます。次の3組を明るい場所で撮り、無理に刃を開いたりバネを付け直したりせずに送ってください。
- 鋏を閉じた全体と、メーカー名・本体品番の刻印
- バネの品番、両端、ピン・溝・受けの拡大
- 刃、支点、ロック、強い錆がある箇所
中止条件に当てはまる場合は、別のバネを試して直るか確かめる段階ではありません。取付部やロックの修理が必要かを確認し、安全に使える状態へ戻せるか判断してもらいましょう。
まとめ|本体品番とバネ品番が一致する商品だけを選ぶ
替バネを選ぶ前に、まずバネだけの故障かを確かめ、本体のメーカーと品番から公式バネ品番を調べます。続いてピン・溝・受けの破損を見て、自分で安全に交換できる状態か判断してください。
バネの形や実測値は、品番が分からないときにメーカーへ伝える補助情報であり、互換性を保証するものではありません。下の表に手元の本体がない場合は、汎用品を切ったり曲げたりせず、写真を添えてメーカーや販売店へ問い合わせましょう。
| メーカー | 対応本体 | バネ品番・商品名 |
|---|---|---|
| 岡恒 | No.101・180mm | No.421 / 岡恒 剪定鋏ユニーク180mm用 替バネ2本入 No.421 |
| 岡恒 | No.103・200mm、No.104・210mm | No.422 / 岡恒(Okatsune) 剪定鋏No.103 200mm・No.104 210mm共用替バネ2本入 No.422 |
| 千吉 | SGP-1N | SS-1 1P / 千吉(Senkichi) 園芸はさみ用替バネ V型L受け 開き小 SS-1 1P |
| 千吉 | SGP-2N | SS-2 1P / 千吉(Senkichi) 園芸はさみ用替バネ V型L受け 開き大 SS-2 1P |
| 千吉 | 金千吉剪定鋏180mm、千吉金本鍛造剪定鋏180mm | SS-3 1P / 千吉(Senkichi) 園芸はさみ用替バネ V型I受け 小 SS-3 1P |
| 千吉 | 金千吉剪定鋏200mm、千吉金本鍛造剪定鋏200mm | SS-4 1P / 千吉(Senkichi) 園芸はさみ用替バネ V型I受け 大 SS-4 1P |
| 千吉 | SGP-37、SGP-38 | JAN 4977292070133 / 千吉(Senkichi) 剪定鋏交換パーツ 丸型ハンドルコイルバネ |
| アルス | 120S-7、120S-8 | 999120S03 / アルスコーポレーション ARS (アルス) 120Sシリーズ用 替バネ 1本入 999120S03 シルバー |
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