
60cm水槽のクーラーは室温30度でどれを選ぶ?対応水量と冷却能力
60cm水槽用のクーラーを探していると、対応水量が水槽より大きければ足りそうに見えます。ただ、水槽の奥行きや水位、底床の量が違えば、実際に冷やす水の量も変わります。
同じ水槽でも、飼う生体に合わせてどこまで冷やしたいかで必要な能力は変わります。部屋の温度が同じでも、水槽台の中に熱がこもると、カタログの条件から外れます。
水槽の幅だけで決めず、実際に冷やす水の量、目標にする水温、クーラーの周囲温度をそろえて比べてください。なかでも、目標水温が下がるほど必要な能力は大きく変わります。
25℃・20℃・15℃で必要な機種が変わる
クーラーの吸気口付近が30℃なら、25℃を保つ条件と20℃以下まで下げる条件で、使える能力表が違います。判断に使うのは、水槽とろ過槽の総水量に照明やポンプの発熱を加えた選定リットル数です。
25℃を保つ標準例の選定リットル数は100Lで、3機種が条件内です。20℃以下ではメーカーが示す対応水量が小さくなるため、25℃の数字をそのまま使わないでください。
| 目標水温 | 選定リットル数 | 公式表で条件内の機種 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 25℃ | 100L | GEX クールウェイ BK-C120 / テトラ CPX-75 / ゼンスイ ZC-100α | 3機種とも各社の条件内。ZC-100αは100Lの上限 |
| 20℃ | 78L / 100L | ゼンスイ ZR mini(78L) / ゼンスイ ZC-200α(100L) | ZR miniは90L条件内。ZC-200αは100Lの上限 |
| 15℃ | 78L / 100L / 145L | ZC-500α(150L側) | ZC-200αは70Lのため、最小例78Lにも不足 |
25℃の標準例では、BK-C120とCPX-75は各社の条件内、ZC-100αは上限です。各社の試験条件は同一と確認できないため、対応水量の数字だけでは順位が決まりません。
20℃は78LならZR mini、100LならZC-200αが上限です。15℃はZC-500αの150L条件が必要で、ZC-200αでは足りません。



実水量と機器の発熱を足して見積もる
早見表に出てきた78L・100L・145Lは、水槽の公称水量ではありません。水槽とろ過槽の総水量に、照明やポンプなどのW数を加えた選定用の数字です。
そのため、60cm水槽という名前だけでは計算できません。計算前に、実際に入る水の量と動かしている機器の消費電力を確認してください。
60cm幅でも水量は一つではない
標準的な60×30×36cm水槽は約57Lですが、60×20×25cmのスリム水槽は約26Lです。60×45×45cm級になると100Lを超えるため、同じ60cm幅でもクーラーが冷やす水量は大きく変わります。
実水量は、バケツや流量計で給水した量を積み上げる方法が確実です。水位を下げた分や石・流木が押しのけた分を調整したうえで、外部フィルター、ろ過槽、ホース内の水を加えてください。
底床の見かけの体積を、そのまま全量引くことはできません。粒の隙間にも水が入るためです。下の50〜60Lは計算の流れを示す仮の総水量なので、実際の給水量に置き換えてください。
照明とポンプのW数も加算する
ゼンスイの公式選定式は、水槽・ろ過槽の全容量Lに照明、循環ポンプ、UV殺菌灯、その他の機器の合計Wを加えます。例えば総水量50Lで、照明20Wと循環ポンプ8Wなら、選定リットル数は78Lです。
これはゼンスイ製品を公式能力表へ当てはめるための、メーカー独自のL換算指標です。熱力学上の必要冷却能力Wを示す数字ではありません。
| 想定 | 総水量 | 照明 | 循環ポンプ | UV・その他 | 選定リットル数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 発熱が少ない例 | 50L | 20W | 8W | 0W | 78L |
| 標準例 | 55L | 30W | 10W | 5W | 100L |
| 高光量・機器多め | 60L | 60W | 15W | 10W | 145L |
表の機器Wは計算例なので、使っている照明やポンプの銘板・公式仕様に置き換えてください。ヒーターはゼンスイ公式の損失熱量に含めません。直射日光と密閉した水槽台はこの計算外のため、設置時に避けてください。
20℃以下では対応水量が大きく減る
選定リットル数が78L・100L・145Lまで出た後、対応水量との照合に使うのは目標水温と同じ列です。周囲30℃の公式表でも、設定を25℃から20℃、15℃へ下げるほど、同じ機種が冷やせる水量は小さくなります。
GEX BK-C120とテトラ CPX-75の200Lは、周囲30℃・設定25℃の数字です。20℃・15℃の公式水量は確認できていないため、低温側へそのまま使わないでください。
| 機種 | 25℃ | 20℃ | 15℃ | 78L・100L・145Lの読み方 |
|---|---|---|---|---|
| ZC-100α | 100L | 50L | 40L | 78Lは25℃の条件内。100Lは25℃の上限。20℃以下は78Lにも不足 |
| ZR mini | 180L | 90L | 公式水量なし | 78Lは20℃の条件内。ただし差は12L。100L・145Lは20℃で不足 |
| ZC-200α | 200L | 100L | 70L | 100Lは20℃の上限。78Lでも15℃は8L不足。145Lは20℃・15℃とも不足 |
| ZC-500α | 450L | 225L | 150L | 145Lは20℃・15℃とも条件内。ただし15℃では上限まで5L |
20℃では、選定78LがZR miniの90L条件内です。選定100LはZC-200αの上限に達し、選定145LにはZC-500αの225L条件が必要です。
15℃では、選定78LでもZC-200αの70Lを超えます。選定145LはZC-500αの150L条件内ですが、上限との差は5Lに限られます。


メーカーの対応水量は条件が違う
ゼンスイ各機種の対応水量は、同じ周囲温度で比較できます。メーカーをまたぐと、同じ「200L」でも試験条件や安全率まで同じとは確認できません。
メーカーをまたいで25℃設定を比べる条件は、周囲30℃と35℃の水量、50/60Hz別の冷却能力、消費電力です。東日本と西日本の値は平均せず、使う地域に対応する周波数側を使ってください。
| 機種 | 30℃・25℃の対応水量 | 35℃・25℃の対応水量 | 20℃・15℃の公式水量 | 冷却能力 50/60Hz | 消費電力 50/60Hz | 判断条件 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| GEX クールウェイ BK-C120 | 200L | 100L | 20℃・15℃の公式水量は未確認 | 150/170kcal/h | 155/180W | 25℃条件は確認可能。低温用の水量には流用しない |
| テトラ クールパワーボックス CPX-75 | 200L | 100L | 20℃・15℃の公式水量は未確認 | 150/170kcal/h | 150/170W | 18〜30℃設定でも低温時の水量は未確認 |
| ゼンスイ ZC-100α | 100L | 70L | 30℃: 20℃50L・15℃40L、35℃: 20℃35L・15℃25L | 0.09/0.11kW | 120/140W | 20℃・15℃では25℃より対応水量が小さい |
| ゼンスイ ZR mini | 180L | 125L | 20℃のみ。30℃: 90L、35℃: 65L | 0.21/0.26kW | 140/150W | 15℃の公式水量は確認できない |
| ゼンスイ ZC-200α | 200L | 140L | 30℃: 20℃100L・15℃70L、35℃: 20℃80L・15℃50L | 0.15/0.19kW | 120/140W | 20℃・15℃は別の対応水量で判断 |
TEGARU IIは、ゼンスイ公式が45cm以上の水槽でZC・ZR・ZTKシリーズを推奨しています。そのため、60cm水槽の主要機種を比べるこの表では対象外です。
BK-C120、CPX-75、ZC-200αは30℃から25℃の欄が200Lでも、この数字だけで順位は決まりません。BK-C120とCPX-75はkcal/h、ゼンスイ3機種はkWで公表されているため、無換算の数値大小も性能順を示しません。
外部フィルターに必要な流量とホース径
冷却能力が条件内でも、水が指定された範囲で流れなければクーラーの性能を発揮できません。接続条件には、適合流量とホース内径の両方が必要です。
外部フィルターの公称最大流量は、揚程や配管抵抗による低下を含まない数字です。購入前に、揚程、配管長、ホースの曲がり、ろ材の汚れ、クーラー通過後の抵抗まで加わった実流量を確認してください。
| 機種 | 適合流量 | ホース内径 | 循環装置 | 接続前の注意 |
|---|---|---|---|---|
| GEX クールウェイ BK-C120 | 5〜15L/分 | 12/16mm | 内蔵なし | 外部フィルターまたは水中フィルターが必要。最大揚程3m以下 |
| テトラ クールパワーボックス CPX-75 | 約5〜15L/分 | 12/16mm | 外部フィルター等 | 公式取説は、極端な流量低下時に別系統運転を案内 |
| ゼンスイ ZC-100α | 5〜15L/分 | 12mm | ろ過装置から送水 | ろ過後の水をクーラーへ送る |
| ゼンスイ ZR mini | 10〜30L/分 | 12/16mm | ろ過装置から送水 | 他の小型機より高い10L/分が下限 |
| ゼンスイ ZC-200α | 7〜15L/分 | 12mm | ろ過装置から送水 | 7L/分以上の実流量が必要 |
ゼンスイは、ろ過装置を通った水をクーラーへ送るよう案内しています。異物を熱交換部へ直接入れないため、接続位置は外部フィルターやろ過槽の後ろです。
ホース内径が同じでも、継手やダブルタップまで無加工でつながるとは限りません。ZR miniは10L/分が下限なので、小型フィルターを使う場合は配管後の実流量を確認してください。
水槽台の中は吸気温度が上がりやすい
水槽台に本体が収まるかと、冷却中の熱を外へ逃がせるかは別の条件です。外寸に加えて、吸気と排気の通り道が必要です。
- 吸気口付近の温度:クーラーを動かし、扉を閉めた状態で測定。部屋の温度計の30℃で代用しない
- 20cmの吸排気空間:GEXは本体の前後、ゼンスイZRは本体周囲に20cm以上を確保。吸気グリルと排気口をふさがない
- 排気を逃がす換気:熱気を水槽台の外へ排出。排気を配管ホースへ当てず、GEXの背面へ扇風機の直風も当てない
部屋が30℃でも、扉を閉めた水槽台内はさらに高くなる場合があります。エアコンを使わない真夏は、35℃条件の対応水量を確認してください。ゼンスイは周囲35℃で冷却効果が30%低下すると案内しています。
風通しの悪い密閉キャビネットは、能力低下と故障の原因になります。扉を閉めたまま排熱を外へ出せないなら、通気口を設けるか、クーラーを水槽台の外へ置く必要があります。
飼育する生体で設定温度が変わる
設定水温はクーラーの能力表から逆算できず、飼育する種類に合わせる必要があります。GEXの飼育情報では、一般的な熱帯魚の適正水温は25〜26℃、グッピーは23〜26℃です。
金魚やメダカにも高温への耐性はありますが、30〜32℃超は危険な環境です。クリスタルレッドシュリンプなどのエビ類は高温に弱い傾向があり、熱帯魚と同じ設定をそのまま使えません。
ただし、エビ類の具体的な安全温度は、飼育する種ごとの一次資料で確認してください。海水魚、冷水性生体、両生類、繁殖・治療中の生体にも、一般的な熱帯魚の適正水温は一律適用できません。
水温が上がると、水に溶け込める酸素の量は減ります。クーラーで水温を下げても酸欠対策が完了するわけではなく、飼育密度とエアレーションも別に確認が必要です。
決め手は水量・温度・置き場所
最終判断には、算出した選定リットル数と温度別表の照合に加え、接続と排熱の条件も必要です。対応水量が足りても、配管後の実流量や置き場所が合わなければ設置できません。
照合する順番は、総水量 → 照明・ポンプなどの機器W → クーラー吸気口付近の周囲温度 → 生体に必要な目標水温 → 対応水量 → 配管後の実流量とホース径 → 排熱スペースです。
- GEX クールウェイ BK-C120:周囲30℃・設定25℃の標準的な60cm水槽にはおすすめです。20℃・15℃の公式水量は確認できていません。
- テトラ クールパワーボックス CPX-75:周囲30℃・設定25℃の標準的な60cm水槽は対応水量の条件内です。20℃・15℃の公式水量は未確認です。
- ゼンスイ ZC-100α:周囲30℃では25℃100L・20℃50L・15℃40Lとなり、選定100Lは25℃の表上限に当たります。
- ゼンスイ ZR mini:周囲30℃・20℃で90L、選定78Lとの差は12Lに限られます。
- ゼンスイ ZC-200α:周囲30℃で20℃100L・15℃70Lとなり、選定100Lは20℃の表上限です。
選定リットル数と対応水量が同じ機種は表上限なので、目標水温、実流量、排熱のどれかが条件外なら候補から外してください。
よくある質問
グッピー飼育で設定23℃なら、25℃対応水量のクーラーで足りますか?
足りません。GEXの飼育情報ではグッピーの適正水温は23〜26℃で、25℃対応水量は設定25℃の条件でしか使えない数字です。設定23℃で使うなら20℃側の対応水量で照合し、20℃の公式水量が未確認のGEX BK-C120・テトラ CPX-75は候補から外してください。
標準的な60×30×36cmの60cm水槽にTEGARU IIを使えますか?
使えません。ゼンスイ公式はTEGARU IIを45cm未満の水槽向けとし、45cm以上の水槽にはZC・ZR・ZTKシリーズを推奨しています。標準的な60cm水槽はこの推奨から外れるため、本記事で比較したZC-100α・ZR mini・ZC-200α・ZC-500αの中から選んでください。
実水量を測らず、水槽の公称水量だけで選んでよいですか?
公称水量だけでは選べません。選定リットル数に使うのは水槽とろ過槽の総水量に照明・ポンプなどの機器W数を加えた数字で、公称水量とは別です。底床の隙間にも水が入るため見かけの体積をそのまま引かず、バケツや流量計で給水量を積み上げて実水量を確認してから選定してください。
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