
ブッデンブローク家の人々はどれを読む?岩波文庫・Kindle版を比較
トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々』は、ドイツ北部リューベックの商家を舞台に、家族の繁栄と衰退を描く長編小説です。訳者や巻の分け方が異なる版があるため、紙で読みたいか、電子書籍でまとめて読みたいかを決めると候補を絞れます。
商家を継ぐトーマスと、その弟クリスチャン、妹トーニーが物語の中心です。家の名誉や商売を守ろうとする家族を追ううちに、時代とともに変わる価値観も見えてきます。トーマス・マンの作品紹介では、家族の経済的・市民的な没落が主題として挙げられています。トーマス・マン公式作品紹介
| 版 | 形式・訳者 | 分量 | 参考価格 |
|---|---|---|---|
ブッデンブローク家の人びと 上・ ブッデンブローク家の人びと 中・ ブッデンブローク家の人びと 下 | 文庫/望月市恵訳 | 357・373・367ページ | 上1,100円、中・下各1,155円 |
ブッデンブローク家の人々 完全版 | Kindle/実吉捷郎訳 | 902ページ | 991円 |
ブッデンブローク家の人々 第一巻・ ブッデンブローク家の人々 第四巻 | Kindle/実吉捷郎訳 | 213・285ページ | 各300円 |
ブッデンブローク家の人々(上)・ ブッデンブローク家の人々(下) | Kindle/川村二郎訳 | 522・444ページ | 上891円、下1,100円 |
【カラー版】世界文学全集〈第47巻〉トーマス・マン ブッデンブローク家の人々 | 単行本/川村二郎訳 | — | 15,654円 |
価格は2026年9月28日時点のAmazon参考価格で、時期によって変わります。岩波文庫版は3冊合計で3,410円、グーテンベルク21版は上下巻合計で1,991円です。
どんな小説か
『ブッデンブローク家の人々』は、家族の時間を積み重ねる小説です。商家の家風や親族同士の距離、町での評判などを通じて、個人の選択が家全体に広がっていきます。
舞台はリューベックの商家で、物語は複数の世代にわたります。大きな事件に頼らず、食卓での会話や商売上の判断、家族内の気まずさを重ねて、家の変化を描いています。
家の繁栄が続くかという問いに加え、家業を背負うことと自分らしく生きることのずれも描かれます。商人としての責任を重く受け止める人物もいれば、別の関心に引かれる人物もいる。その違いが家族の将来を揺らします。
トーマス・マンは本作を1901年に発表し、1929年にノーベル文学賞を受賞しました。ノーベル賞の授賞理由でも本作が大きく挙げられています。ノーベル賞公式記録
読みどころ
世代ごとの違いは、単に「昔の人と若い人」の対比にとどまりません。商売の成功を家の誇りと結びつける考え方が、次の世代にも同じ形で受け継がれるとは限らない。変化は登場人物の口調や振る舞いから読み取れます。
家族の栄枯盛衰とともに、家の名を守るための結婚や、町の人々からどう見られるかという意識も描かれます。こうした事情が人物の判断を左右し、個人の希望が家の都合に押される場面もあります。今の読者にも想像しやすいでしょう。
登場人物が多く、親族関係を追いにくいと感じたら、読み始めに家族の名前をメモしておくと安心です。誰が家業を担い、誰がそこから距離を取ろうとするのかを整理すれば、各人物の立場が見えやすくなります。
長編なので、世代の節目ごとに区切って読むと進めやすいでしょう。家族の会話や社交の場面には、その時代の価値観がにじみます。急いで読み飛ばさず、場面ごとの変化を追うと作品の面白さを拾えます。
岩波文庫版
岩波文庫版は上巻357ページ、中巻373ページ、下巻367ページの三冊構成です。すべて望月市恵訳。参考価格は上巻1,100円、中巻と下巻が各1,155円で、三冊合計は3,410円です。

紙の本で読みたい人や、長編を巻ごとに区切って読みたい人に合います。文庫サイズで、厚い一冊より持ち歩きやすいのも利点です。上巻だけでは物語を読み終えられないため、続きの巻もそろえてください。

上巻は1969年9月、中巻は同年10月、下巻は同年11月の出版です。古書を買う場合は、巻数に加えて版や状態、書き込みの有無も確認しましょう。新品でそろえるなら、三冊分の価格を予算に入れてください。

電子書籍版
一冊で読み通したい人には、古典教養文庫の『完全版』がおすすめです。Kindle版で902ページ、参考価格は991円。実吉捷郎訳で、紙の三冊を置く場所も取りません。長編を端末で読む人なら、購入候補にできます。

同じ古典教養文庫から『第一巻』『第四巻』も各300円で販売されています。巻単位の版なので、この二冊だけでは全巻をそろえられません。個別巻を買う場合は、手元にある巻と続きの有無を確かめてください。


川村二郎訳のグーテンベルク21版は、上巻522ページで891円、下巻444ページで1,100円の二冊構成です。合計1,991円となり、岩波文庫版より購入費を抑えられます。電子書籍で川村訳を読みたい人は、この上下巻を選べます。


『世界文学全集〈第47巻〉トーマス・マン ブッデンブローク家の人々』は河出書房の単行本で、参考価格は15,654円です。ここで挙げた版の中では価格が大きく離れているため、通常の読書用なら優先度を下げてよいでしょう。装丁や全集をそろえることを重視する人に向いた選択です。

結論
初めて読む一冊として、紙の文庫がよければ岩波文庫の上巻・中巻・下巻をそろえるのがおすすめです。望月市恵訳の三冊構成で、長編を区切りながら読めます。合計の参考価格は3,410円です。
端末で一冊にまとめたい人には、902ページのKindle版『完全版』が合います。参考価格は991円で、巻を買い足す手間もありません。川村二郎訳を選ぶなら、グーテンベルク21版の上巻・下巻が合計1,991円です。
紙なら岩波文庫、電子書籍で一冊なら完全版、川村二郎訳ならグーテンベルク21版を選ぶとよいでしょう。
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