
嘔吐(サルトル)の翻訳を紹介|鈴木道彦訳・白井浩司訳と同名作品
「嘔吐」と検索すると、体調の症状について知りたい人もいれば、サルトルの小説を探している人もいます。同じ題名の別作品も見つかるため、ここでは著者を手がかりにサルトルの小説を中心に紹介します。
サルトルの『嘔吐』は、吐き気をめぐる日記形式の小説です。訳者の違いを知りたい方も初めて読む方も、題名だけで取り違えないよう作品の中身を見ていきましょう。
紹介するのは鈴木道彦訳と白井浩司訳、そして小川哲による同名の音声作品です。小川哲の作品はサルトル作品とは別の物語です。
版の早見表
| 作品・版 | 著者・訳者 | 形式 | 参考価格 |
|---|---|---|---|
『 嘔吐 新訳』 | サルトル・鈴木道彦訳 | Kindle版 | 1,936円 |
『 嘔吐』 | サルトル・白井浩司訳 | 単行本 | 3,178円 |
『 嘔吐』(小学館) | 小川哲 | Audible版 | 0円、定価の目安1,090円 |
上の価格は2026年9月28日時点のAmazon価格です。電子書籍やオーディオブックの価格は時期によって変わります。Audible版は参考価格0円、定価の目安1,090円です。
サルトルの小説を読みたい方は、鈴木訳か白井訳を選びます。小川哲の音声作品は、同じ題名でも別の現代小説。商品ページで著者名と出版社を確認すれば、取り違えを防げます。
小説の入口
サルトルの小説で日記を書き続けるのは、主人公のアントワーヌ・ロカンタンです。彼はフランスの港町ブーヴィルに滞在し、歴史上の人物ロルボン侯爵について調べながら、身の回りで起きる感覚の変化を記録します。
大事件が次々に起きる冒険小説とは少し違います。街を歩く。物に触れる。人と話す。そんな日常の中でロカンタンの感じ方が揺らぎ、読者は日記を通じて変化を追います。
「嘔吐」は病気の症状ではなく、主人公を襲う強烈な感覚を指します。人や物がいつもの意味を失い、ただ存在していることが迫ってくる。その違和感が物語を動かします。
人文書院は、舞台をブーヴィル、主人公をロカンタンと紹介し、日記に綴られる孤独なモノローグとして作品を案内しています。人文書院の刊行案内では、新訳版を存在の真実を探る冒険譚としています。
吐き気が示すもの
ロカンタンが経験する吐き気は、特定の食べ物や体調不良への反応ではありません。物事には理由や役割があるという普段の見方が崩れ、存在そのものが不意に迫ります。そこから作品の哲学的な問いが生まれます。
木の根を前にした場面は、この変化を象徴する箇所としてよく知られています。木は「公園の木」と名づけられる前から、そこに存在している。主人公は、名前や分類が世界のすべてを説明するわけではないと気づきます。
その気づきは、理論の説明だけで進むのではありません。ロカンタンの戸惑いや孤独、身体に現れる不快さを通じて、読者にも伝わります。哲学小説を難しく感じる方も、まずは一人の人間の日記として読むと入りやすいでしょう。
読みどころは、吐き気の原因を医学的に解明することより、主人公の世界の見え方が変わる過程です。筋書きの速さより、日常の景色が別のものに感じられる瞬間や、言葉にしにくい違和感に目が向く作品ですね。
鈴木道彦訳
鈴木道彦訳は、人文書院から2010年に刊行された新訳です。出版社は60年ぶりの新訳として紹介し、孤独な男のモノローグと存在をめぐる冒険を取り上げています。刊行時の書籍情報で刊行の経緯を確認できます。
今回紹介するのは、その新訳のKindle版です。紙の本を置かずに端末で読みたい方には、電子書籍が便利です。参考価格は1,936円、定価の目安は2,420円。価格は時期によって変わります。
訳文の印象は、読み慣れた言葉や好みによって変わります。鈴木訳の新訳を電子書籍で読みたい方には、このKindle版がおすすめです。
ロカンタンの吐き気と存在の発見が、出版社の案内でも作品の中心として紹介されています。気になった場面を戻って読み直すときにも、電子版なら端末でページを開けます。

白井浩司訳
白井浩司訳は、長く読まれてきた翻訳です。国立国会図書館の書誌では、人文書院から1994年に刊行された版が改訳新装版として登録されています。訳者は白井浩司で、ページ数は306ページです。国立国会図書館の書誌で版の情報を確認できます。
紹介する商品は単行本で、参考価格は3,178円です。1994年刊の版なので、販売価格は時期によって変わります。
白井訳の特徴は、鈴木訳と同じ箇所を読むと確かめられます。冒頭の日記や、ロカンタンが物の存在に違和感を抱く場面なら、言葉の選び方や文の運びに目を向けられます。
すでに白井訳を持っている方は、その本で物語を読み進められます。初めて読む方にも、白井訳はサルトルの小説を読む一冊です。訳者の違いを楽しみたい方は、両方の版を読み比べられます。

同名の音声作品
Audible版の『嘔吐』(小学館)は、サルトルの小説ではありません。著者は小川哲、ナレーターは長塚圭史です。題名は同じですが、ロカンタンやブーヴィルが登場する作品とは別です。
こちらは作家・角谷桃の熱心なファン「麺マスター」のブログから始まり、ネット上の投稿を通して物語が進みます。小学館の案内では『GOAT』第1号掲載作とされています。Audibleの作品ページでは著者やナレーター、作品の概要を確認できます。
参考価格は0円、定価の目安は1,090円です。価格や利用条件は時期によって変わります。現代小説を聴きたい方にはこちら、サルトルの哲学小説を読みたい方には紙版かKindle版が該当します。
「小川哲」「長塚圭史」「小学館」と表示されていれば、別作品だと分かります。この音声版をサルトル作品の翻訳違いとして数えるのは誤りです。

読む作品の結論
サルトルの『嘔吐』を読むなら、鈴木道彦訳のKindle版か白井浩司訳の単行本を購入します。電子書籍で読みたい方には鈴木訳、白井訳を手元に置きたい方には単行本がおすすめです。
参考価格は鈴木訳Kindle版が1,936円、白井訳単行本が3,178円です。どちらも2026年9月28日時点のAmazon価格で、時期によって変わります。翻訳の違いを知りたい方は、冒頭や木の根の場面を読み比べると文体の差をつかめます。
小川哲のAudible版は、題名が同じでもサルトル作品とは別の小説です。現代のネット文化を描いた音声作品を聴くならこちらを、サルトルの作品を読むなら商品名に「サルトル」「鈴木道彦訳」または「白井浩司訳」とある版を購入してください。
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