
Ryzen AI 9 HX 370搭載PCは買い?7840Uとの性能差を徹底比較【2025年版】

この記事を書いている人(せせら)
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「Ryzen AI 9 HX 370って何がすごいの?」
「Ryzen 7 7840Uから買い替える価値ある?」
「Copilot+ PCって実際どうなの?」
AMD Ryzen AI 9 HX 370は、2024年7月に登場した最新世代のノートPC用プロセッサーです。Zen 5アーキテクチャと50TOPSの超強力NPUを搭載し、「AI PC時代の本命」として大きな注目を集めています。
しかし、既にRyzen 7 7840U搭載PCを持っている方や、これから新しいノートPCを買おうとしている方にとって、「本当に性能差があるのか?」「価格差に見合うのか?」は気になるところですよね。
この記事では、Ryzen AI 9 HX 370と前世代のRyzen 7 7840Uのスペック・性能・実際の使い勝手を徹底比較し、どちらを選ぶべきかを分かりやすく解説します。
目次
Ryzen AI 9 HX 370とは?次世代のゲームチェンジャー
まず、Ryzen AI 9 HX 370がどんなCPUなのか、基本情報を整理しましょう。
革新的な3つのポイント
Ryzen AI 9 HX 370は、AMD史上最も野心的なノートPC用プロセッサーです。以下の3つの特徴が際立っています。
1. Zen 5 + Zen 5cのハイブリッド構成
高性能な「Zen 5コア(4コア)」と、高効率な「Zen 5cコア(8コア)」を組み合わせた合計12コア24スレッド。Intelのハイブリッドアーキテクチャに対抗する、AMD初の本格的なハイブリッドCPUです。
2. 50TOPSの超強力NPU
AI処理専用ユニット(NPU)が50TOPSという驚異的な性能を発揮。Microsoftの「Copilot+ PC」認定要件(40TOPS以上)を余裕でクリアし、画像生成や動画編集のAI支援が超高速化します。
3. Radeon 890M(RDNA 3.5)
内蔵GPUは16コアの「Radeon 890M」にアップグレード。前世代のRadeon 780Mから大幅に強化され、GeForce GTX 1650に匹敵するグラフィック性能を実現しています。
主要スペック
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370 |
|---|---|
| アーキテクチャ | Zen 5 + Zen 5c(Strix Point) |
| コア/スレッド数 | 12コア / 24スレッド |
| 最大ブーストクロック | 5.1 GHz |
| キャッシュ | L2 12MB + L3 24MB |
| 内蔵GPU | Radeon 890M(16 CU、2.9 GHz) |
| NPU性能 | 50 TOPS(XDNA 2) |
| TDP | 28W(15-54W可変) |
| 製造プロセス | TSMC 4nm(N4P) |
| 対応メモリ | LPDDR5X-7500 |
| 発売時期 | 2024年7月 |
Ryzen 7 7840Uとの詳細スペック比較
それでは、前世代の人気モデル「Ryzen 7 7840U」と詳しく比較してみましょう。
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370 | Ryzen 7 7840U |
|---|---|---|
| 世代 | 最新(Strix Point) | 前世代(Phoenix) |
| アーキテクチャ | Zen 5 + Zen 5c | Zen 4 |
| コア/スレッド数 | 12コア / 24スレッド | 8コア / 16スレッド |
| 最大クロック | 5.1 GHz | 5.1 GHz |
| L3キャッシュ | 24 MB | 16 MB |
| 内蔵GPU | Radeon 890M(16 CU) | Radeon 780M(12 CU) |
| GPU周波数 | 2.9 GHz | 2.7 GHz |
| NPU性能 | 50 TOPS | 10 TOPS |
| TDP | 28W(15-54W) | 28W(15-30W) |
| Copilot+ PC対応 | ✅ 対応 | ❌ 非対応 |
| 価格帯(搭載PC) | 15万円〜25万円 | 10万円〜18万円 |
スペックから見える進化ポイント
① コア数が1.5倍に増加
8コア → 12コアへ。ただし、4コアはZen 5、8コアはZen 5c(効率重視版)のハイブリッド構成。
② NPU性能が5倍に
10 TOPS → 50 TOPSへ劇的進化。AI処理速度が圧倒的に向上しました。
③ GPU性能が約30%向上
Radeon 780M → 890Mへ。CU数が12 → 16、周波数も2.7GHz → 2.9GHzに強化。
④ キャッシュ容量が50%増加
L3キャッシュが16MB → 24MBに。データアクセス速度が向上し、ゲームや編集作業が快適に。
実際のベンチマーク性能比較
スペック上の差は分かりましたが、実際のパフォーマンスはどうでしょうか?
CPU性能(Cinebench 2024)
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370 | Ryzen 7 7840U | 性能向上率 |
|---|---|---|---|
| シングルコア | 124ポイント | 110ポイント前後 | 約13%向上 |
| マルチコア | 1130ポイント | 900ポイント前後 | 約26%向上 |
シングルコア性能は約13%の向上にとどまりますが、マルチコア性能は約26%も向上しています。動画編集やプログラムのコンパイルなど、マルチスレッドを活用する作業で真価を発揮します。
GPU性能(3DMark Night Raid)
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370 | Ryzen 7 7840U | 性能向上率 |
|---|---|---|---|
| グラフィックススコア | 約50,000 | 約38,000 | 約32%向上 |
Radeon 890MはRadeon 780Mと比較して約30〜35%の性能向上を実現。GeForce GTX 1650に迫る性能で、外付けGPUなしでも多くのゲームが快適にプレイできます。
AI処理性能(NPU)
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370 | Ryzen 7 7840U | 性能向上率 |
|---|---|---|---|
| NPU性能 | 50 TOPS | 10 TOPS | 5倍 |
NPU性能は5倍という圧倒的な差。画像生成AI(Stable Diffusion)、動画編集のAI機能(背景除去、ノイズ除去)、リアルタイム翻訳などが、7840Uとは比較にならないほど高速化します。
総合パフォーマンス
複数のベンチマークサイトを総合すると、Ryzen AI 9 HX 370はRyzen 7 7840Uに対して:
- CPU性能:20〜30%向上
- GPU性能:30〜35%向上
- AI性能:500%向上(5倍)
特にAI処理が桁違いに速いのが最大の特徴です。
実際の使い勝手での違い
ベンチマークの数値も大事ですが、実際に使ったときの体感はどう変わるのでしょうか?
日常作業(Web・Office・動画視聴)
結論:ほぼ変わらない
- Webブラウジング(Chrome、Edge)
- Office作業(Word、Excel、PowerPoint)
- 動画視聴(YouTube、Netflix、4K再生)
- ビデオ通話(Zoom、Teams)
これらの軽い作業では、7840Uでも十分快適なため、HX 370にしても体感差はほぼありません。
クリエイティブ作業(動画編集・画像編集)
結論:明確に速い
- 4K動画の書き出し:約20〜30%高速化
- Premiere Pro/DaVinci Resolve:プレビューがよりスムーズ
- Photoshop/Lightroom:RAW現像やバッチ処理が快適
- AI機能(背景除去、ノイズ除去):5倍以上高速化
特にAIを使った編集機能(背景ぼかし、被写体切り抜き、ノイズ除去など)は、NPUの性能差がそのまま体感速度に直結します。
ゲーミング性能
結論:中程度のゲームが快適に
Radeon 890Mの性能向上により、以下のゲームが快適にプレイ可能になりました。
| ゲームタイトル | Ryzen 7 7840U | Ryzen AI 9 HX 370 |
|---|---|---|
| フォートナイト(1080p低設定) | 60fps前後 | 80fps前後 |
| APEX Legends(1080p低設定) | 50fps前後 | 70fps前後 |
| 原神(1080p中設定) | 45fps前後 | 60fps前後 |
| ストリートファイター6 | 厳しい | 低設定で可能 |
3D性能が必要なゲームでは、約30%のフレームレート向上が見られます。ただし、本格的な重量級ゲーム(サイバーパンク2077、Starfieldなど)は、両者とも外付けGPU推奨です。
バッテリー持ち
結論:ほぼ同等(やや改善)
TDPは両者とも28Wですが、HX 370はZen 5cコアの効率向上により、軽作業時のバッテリー持ちが約10〜15%改善しています。
- 7840U搭載PC:5〜7時間
- HX 370搭載PC:6〜8時間
ただし、バッテリー容量や画面サイズによる影響の方が大きいため、劇的な差ではありません。
Copilot+ PC対応の真価とは?
Ryzen AI 9 HX 370の最大の売りは「Copilot+ PC」対応です。しかし、実際に何ができるのでしょうか?
Copilot+ PCでできること
MicrosoftのCopilot+ PC認定を受けると、以下のAI機能がハードウェアアクセラレーション(NPU活用)で超高速化します。
① Windows Studio Effects
- リアルタイム背景ぼかし・背景置換
- アイコンタクト補正
- 自動フレーミング
② Live Captions(リアルタイム字幕)
- 40言語以上に対応
- 動画や音声をリアルタイムで字幕化
③ 生成AI機能
- Paint Cocreatorで画像生成
- Windows CopilotでのAI支援が高速化
④ ローカルAIモデルの高速実行
- Stable Diffusionの画像生成が数秒で完了
- 大規模言語モデル(LLM)がローカルで動作
7840UではCopilot+非対応
Ryzen 7 7840UのNPUは10TOPSのため、Copilot+ PCの要件(40TOPS以上)を満たしません。そのため、上記のAI機能は使えないか、CPU/GPUで処理するため非常に遅くなります。
AI機能を本格的に使いたいなら、HX 370一択です。
Intel Core Ultra 7 155Hとの比較
参考までに、Intel Core Ultra 7 155H(同世代のIntel最上位モデル)とも比較してみましょう。
| 項目 | Ryzen AI 9 HX 370 | Core Ultra 7 155H |
|---|---|---|
| CPU性能(マルチ) | ◎ 優勢 | ○ やや劣る |
| GPU性能 | ◎ Radeon 890M(優勢) | △ Iris Xe(劣る) |
| NPU性能 | 50 TOPS | なし(非対応) |
| バッテリー持ち | ○ 良好 | ◎ 優秀 |
| 価格帯 | 15〜25万円 | 13〜22万円 |
Ryzen AI 9 HX 370は、CPU・GPU・AI性能の全てでCore Ultra 7 155Hを上回ります。ただし、バッテリー持ちではIntelがやや有利です。
価格差と選び方
価格の違い
2025年1月時点での搭載PC価格は以下の通りです。
- Ryzen 7 7840U搭載PC:10万円〜18万円
- Ryzen AI 9 HX 370搭載PC:15万円〜25万円
価格差は5万円〜10万円程度。決して安くはない差額です。
どちらを選ぶべきか?
Ryzen 7 7840Uがおすすめな人
- 予算重視:15万円以下でノートPCが欲しい
- 一般用途がメイン:Web、Office、動画視聴が中心
- 軽いゲームや編集:フルHDの軽量ゲーム、簡単な動画編集
- コスパ最優先:性能は十分、最新技術は不要
Ryzen 7 7840Uは既に非常に完成度の高いCPUです。AI機能を使わないなら、無理にHX 370にする必要はありません。
Ryzen AI 9 HX 370がおすすめな人
- 最新技術を体験したい:Copilot+ PCのAI機能を使いたい
- クリエイティブ作業が多い:動画編集、画像編集、AI生成を頻繁に行う
- 3Dゲームも楽しみたい:外付けGPUなしで中程度のゲームをプレイ
- 長く使える最上位性能:今後3〜5年は現役で使いたい
「AI機能を使うかどうか」が最大の判断基準です。AI機能が必須なら、HX 370一択。不要なら7840Uで十分です。
Ryzen 8000シリーズ(8040)はどうなの?
「Ryzen 8840UやRyzen 9 8945HSもあるけど、どう違うの?」という疑問もあると思います。
Ryzen 8040シリーズの立ち位置
| 項目 | Ryzen 7840U(7000) | Ryzen 8840U(8000) | Ryzen AI 9 HX 370 |
|---|---|---|---|
| アーキテクチャ | Zen 4(Phoenix) | Zen 4(Hawk Point) | Zen 5 + Zen 5c(Strix Point) |
| CPU性能 | 基準 | ほぼ同じ | 約20〜30%向上 |
| GPU性能 | Radeon 780M | Radeon 780M(同じ) | Radeon 890M(30%向上) |
| NPU性能 | 10 TOPS | 16 TOPS | 50 TOPS |
| Copilot+ PC対応 | ❌ | ❌ | ✅ |
Ryzen 8000シリーズは、CPU/GPU性能が7000シリーズとほぼ同じです。違いはNPUが10 TOPS → 16 TOPSに向上しただけ。しかし、16TOPSでもCopilot+ PCの要件(40TOPS)を満たさないため、7000と8000の差は小さいです。
本格的な進化はRyzen AI 300シリーズ(HX 370など)からです。
まとめ:結局どっちを買うべき?
Ryzen AI 9 HX 370とRyzen 7 7840Uを徹底比較した結果、以下のことが分かりました。
- CPU性能:20〜30%向上(マルチコア特に強い)
- GPU性能:30〜35%向上(GTX 1650級に)
- AI性能:5倍(NPU 50 TOPS、Copilot+ PC対応)
- 価格差:5〜10万円
筆者の結論
AI機能を使うなら → Ryzen AI 9 HX 370
AI不要・コスパ重視 → Ryzen 7 7840U
Ryzen 7 7840Uは、現在でも非常に高性能で、一般的な用途では全く問題ありません。価格も10万円台で購入でき、コスパ最強です。
一方、Ryzen AI 9 HX 370は、「AI時代のノートPC」を象徴する革新的なCPUです。画像生成、動画編集のAI支援、リアルタイム翻訳などを頻繁に使うなら、5万円の追加投資は十分に価値があります。
どちらを選んでも、AMDの最新技術が詰まった優秀なプロセッサーです。自分の用途と予算に合わせて、後悔のない選択をしてください。
よくある質問
Q1. Ryzen 7 7840Uから買い替える価値はありますか?
A. AI機能を使わないなら、買い替え不要です。CPU性能は20〜30%の向上ですが、日常作業では体感差は小さいです。ただし、動画編集やゲームを頻繁にするなら、GPU性能の30%向上は魅力的です。
Q2. Copilot+ PCは本当に便利ですか?
A. 画像生成やAI編集を使うなら非常に便利です。ただし、Web閲覧やOffice作業がメインなら、恩恵は限定的です。
Q3. Ryzen 8840Uとどっちが良いですか?
A. HX 370の方が圧倒的に高性能です。8840Uは7840Uとほぼ同じ性能で、NPUが16 TOPSに増えただけ。HX 370はCPU・GPU・NPU全てが大幅強化されています。
Q4. ゲームはどれくらいできますか?
A. 軽〜中程度のゲームは快適です。フォートナイト、APEX、原神などは1080p低〜中設定で60fps前後。ただし、重量級ゲームは外付けGPU推奨です。
Q5. バッテリー持ちは良いですか?
A. 7840Uとほぼ同等(6〜8時間)です。軽作業時はZen 5cコアの効率化でやや改善していますが、劇的な差はありません。
Q6. Intel Core Ultraと比較してどうですか?
A. CPU・GPU・AI性能の全てでRyzen AI 9 HX 370が優勢です。ただし、バッテリー持ちと静音性ではIntelがやや有利です。
Q7. おすすめの搭載モデルは?
A. ASUS Zenbook S 16、ASUS Vivobook S 14/15/16、MSI Summit A16 AI+などが人気です。価格は15万円〜25万円程度です。
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