私がRustがC++より優れていると感じる理由

オフ 投稿者: sesera

目次

はじめに

プログラミング言語の世界で、RustはC++に代わる次世代システムプログラミング言語として注目を集めています。私自身、両方の言語を実務で使用してきた経験から、Rustの優位性について解説していきます。

少し自己紹介

エンジニア3年目、フリーランス歴1年のせせらと言います。
基本的にWebアプリケーションの開発をしてきました。

好きな言語はRustです!

Rustが優れいていると感じる点

メモリ安全性の保証

Rustの最大の強みは、コンパイル時のメモリ安全性の保証です。

  • 所有権システムにより、メモリリークやダングリングポインタを防止
  • 可変参照は同時に1つしか存在できないため、データ競合を防止
  • NULLポインタの概念がなく、Option型で安全に扱える

一方、C++では:

  • メモリ管理は開発者の責任
  • スマートポインタを使用しても完全な安全性は保証されない
  • データ競合の検出は実行時まで待つ必要がある

近代的なパッケージ管理

Rustのパッケージマネージャ「Cargo」は、C++の環境と比べて圧倒的に使いやすいです:

  • 依存関係の管理が容易
  • ビルドシステムが統一されている
  • パッケージの公開と共有が簡単
  • バージョン管理が確実

C++では:

  • パッケージ管理は環境依存
  • ビルドシステムが複数混在(Make, CMake, Bazelなど)
  • 依存関係の解決が複雑

充実したツール群

Rustには現代的な開発に必要なツールが標準で揃っています:

  • rustfmt:コードフォーマッタ
  • clippy:高度な静的解析ツール
  • cargo test:テストフレームワーク
  • cargo doc:ドキュメント生成

C++でも同様のツールは存在しますが:

  • 環境によってツールが異なる
  • セットアップが複雑
  • 統一的な使用方法がない

優れたエラーメッセージ

Rustのコンパイラは非常に親切なエラーメッセージを提供します:

  • エラーの原因を具体的に説明
  • 解決方法の提案を表示
  • コードの問題箇所を視覚的に表示

C++のエラーメッセージは:

  • テンプレートエラーが読みづらい
  • エラーの原因特定が困難
  • 解決方法の提案が少ない

コミュニティとドキュメント

Rustは活発なコミュニティとドキュメントが特徴です:

  • 公式ドキュメントが充実
  • 初心者向けのチュートリアルが豊富
  • 質問への回答が迅速
  • コミュニティガイドラインが明確

逆にC++の方が優れていると感じる点

Rustの良い点だけを語るのも偏った内容になると感じたので、C++の良い点も書いていきます。

柔軟な抽象化と最適化

C++は、より柔軟な抽象化と最適化が可能です:

  • テンプレートメタプログラミングによる強力な抽象化
  • コンパイル時計算の豊富な機能
  • より細かいメモリレイアウトの制御
  • 複数の継承方式をサポート(多重継承、仮想継承)

豊富なライブラリエコシステム

30年以上の歴史を持つC++は、圧倒的な資産があります:

  • 膨大な数の既存ライブラリ
  • あらゆる分野での実績ある実装例
  • 多くのレガシーシステムとの互換性
  • 業界標準のライブラリ(Boost、Qt、OpenCVなど)

パフォーマンスの予測性

C++は、より予測可能なパフォーマンス特性を持ちます:

  • より直接的なハードウェア制御
  • 暗黙的なコストが少ない
  • メモリアロケーションの完全な制御
  • 最適化の手段が豊富

まとめ

RustはC++の課題を解決する現代的な言語として設計されています。メモリ安全性、開発者体験、ツール群の充実度など、多くの面でC++を上回る特徴があります。

これらの特徴から、多くの人がかかわる開発ではRustを採用した方が、多くのメリットを享受できる場面が多いと個人的には感じています。

ただし、これはC++が劣っているということではありません。C++には長年の実績があり、多くのプロダクションで使用されています。Rustは比較的新しい言語であり、まだ発展途上の部分もあります。

Rustの優位性:

  • 安全性と信頼性
  • 現代的な開発体験
  • 統一された開発環境

C++の優位性:

  • 柔軟性と制御性
  • 豊富なエコシステム
  • 実績と成熟度

プロジェクトの要件や、チームの経験、既存のコードベースなどを考慮して、適切な言語を選択することが重要です。

※この記事の内容は2024年時点のものです。言語仕様やエコシステムは常に進化していますので、現状と異なる場合があります。