
絶縁抵抗計の使い方|測定手順・500V/1000Vの使い分け・測定値の見方
絶縁抵抗計を使いたくても、コードをつなぐ順番や測定電圧の選び方が分からないと困りますよね。
測定では、回路の電源を切って0Vを確認し、設備に合う試験電圧を選ぶことが大切です。
測る回路に合う試験電圧と判定値が分かれば、測定から原因の切り分けまで順番に進められます。
用途別の絶縁抵抗計
初めて買うなら、複数の測定電圧に対応し、電気が来ていることを知らせるデジタル機がおすすめです。
測定後に残る電気を減らす自動放電と、手元スイッチ付きコードも確認してください。
| 用途 | 向く製品 | 主な強み | 弱点・購入前の確認 | 商品 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅・店舗の点検 | HIOKI IR4051-11 | 5種類の測定電圧、電圧警告、自動放電、手元スイッチ付きコード | 2025年3月〜2026年1月生産・製造番号250306523〜260199840のうち一部が点検対象。対象番号の確認が必要 | HIOKI IR4051-11 |
| 100Vから1000Vまでの設備 | KEW 3551 | 6種類の測定電圧、短い測定時間、時間変化表示 | 保存機能・無線転送なし | KEW 3551 |
| 測定記録の保存・転送 | KEW 3552BT | 最大1000件保存、無線転送対応 | 単発測定には機能過多。使用端末への対応確認が必要 | KEW 3552BT |
| 細身の計器・誤操作防止 | MG102 | 不要な測定電圧の無効化による誤操作防止 | 5機種中で高価格。職場指定規格の確認が必要 | MG102 |
| 500Vまでの基本測定 | PDM5219S | 125V・250V・500V、自動放電 | 1000V・電圧警告なし。初心者の最初の1台には非推奨 | PDM5219S |
住宅・店舗用はHIOKI IR4051-11かKEW 3551、記録保存が必要ならKEW 3552BTがおすすめです。



絶縁抵抗計の試験電圧
試験電圧を決める基準は、回路の使用電圧と接続機器です。高いほど良いわけではありません。
| 測る回路・設備 | 試験電圧の目安 | 判定値の目安 |
|---|---|---|
| 100V未満の回路 | 125V | 0.1MΩ以上 |
| 100V以上300V以下で、大地への電圧が150V以下 | 250V | 0.1MΩ以上 |
| 100V以上300V以下で、大地への電圧が150V超 | 500V | 0.2MΩ以上 |
| 300V超の低圧回路 | 500V | 0.4MΩ以上 |
| 600V超の高圧設備 | 1000V以上 | 設備ごとの基準で判定 |
500Vは200Vや400Vを含む低圧回路で使い、1000Vは高圧設備や大型機器向けなので、家庭の100V回路には使いません。
電子機器、インバーター、太陽光発電設備、制御回路は、高い試験電圧で故障するおそれがあります。
これらを先に切り離せない場合は、保守担当者や電気工事業者へ依頼してください。
絶縁抵抗計の測定手順
絶縁抵抗計は、電気が来ている回路には使いません。分電盤や制御盤の配線を外せない場合は、電気工事業者へ依頼してください。
測定前:電源と接続機器を切り離し、計器が正常に動くことまで確認してください。
- 電源経路:測る回路を特定し、通常の電源、別回路、発電機、蓄電池、太陽光発電など、電気が来る経路をすべて確認
- 誤送電防止:遮断器を切り、他の人が戻せないよう表示または施錠
- 接続機器:照明、家電、電子機器、インバーター、避雷器などを回路から切り離す
- 計器とコード:本体と測定コードの傷を確認し、設備に合う試験電圧を選択
- 電圧確認:電圧が分かっている電源で、絶縁抵抗計の電圧測定機能を確認。その後、測る回路が0Vであることを確認
接続と測定:コードを正しい端子へつなぎ、電圧警告がないことを確かめてから測定します。
- 接続:測定スイッチを押さず、黒いEARTH端子のコードを接地側へ、赤いLINE端子のコードを測る導体へ接続
- 線間測定:線と線の間を測る場合は、対象の2本へコードを接続
- 電圧警告:表示が出た場合は、すぐに中止して電源経路を再確認
- 値の記録:測定スイッチを押し、表示が落ち着くか、決められた時間が過ぎた時点の値を記録
測定後:放電と配線の復旧を終えてから送電します。
- 放電:測定スイッチを離してもコードをつないだままにし、自動放電が終わって0Vになるまで待機
- コードの取り外し:赤いLINE側、黒いEARTH側の順に取り外す。ただし、現場で決められた手順がある場合はそちらを優先
- 復旧:外した機器や配線を元へ戻し、接続を確認してから送電
絶縁抵抗値の判定表
測定値は、100万Ωを表すMΩ(メガオーム)で示し、数値が大きいほど電気が漏れにくい状態です。
| 低圧回路の区分 | 最低値 | 見方 |
|---|---|---|
| 100V未満 | 0.1MΩ | 0.1MΩ未満は不合格 |
| 100V以上300V以下・大地への電圧150V以下 | 0.1MΩ | 0.1MΩ未満は不合格 |
| 100V以上300V以下・大地への電圧150V超 | 0.2MΩ | 0.2MΩ未満は不合格 |
| 300V超の低圧回路 | 0.4MΩ | 0.4MΩ未満は不合格 |
たとえば100V回路を測って0.05MΩなら、最低値の0.1MΩを下回るため、使用を続けずに回路を分けて原因を探してください。
最低値を超えていても、前回より大きく下がった場合は劣化の兆候です。温度や湿度も記録し、同じ条件の過去値と比べてください。
絶縁抵抗計の表示判断
表示は数値だけでなく、測定中の動きも見ます。表示が安定しない場合は、そのまま良否を決めません。
- 「OL」「∞」「>2000MΩ」:測定範囲の上限を超える高い抵抗。コードが外れている場合も同じ表示
- 低い値で安定:漏電、絶縁材の劣化、湿気、汚れ、接続機器の影響の疑い
- 低い値から徐々に上がる:モーターや長い配線で見られる変化。決められた時間の値で比較
- 数値が大きく揺れる:接触不良、湿気、機器の切り離し不足の確認が必要
- 電圧警告や測定不能:通常の電源、別回路、発電機、蓄電池、太陽光発電、残留電気のいずれかから電圧が来ています。すべての電源経路を確認し、0Vになるまで測定しないでください。
上限表示が出たら、まず測定コードをつなぎ直します。高い値でも、接触していなければ正しい測定結果ではありません。
絶縁抵抗値の切り分け
値が低いときは、回路全体を一度に追わず、分岐や接続機器を外して測り直してください。
範囲を半分ずつ狭めると、原因箇所を絞れます。
- 全体測定:回路全体を測り、低い値を記録
- 分岐測定:分岐回路を1つずつ切り離し、同じ試験電圧で測定
- 原因範囲:値が上がった分岐へ絞り込み
- 機器の切り離し:該当する分岐の機器を外し、配線だけを測定
- 最終判定:配線が良好なら機器側、配線も低ければケーブルや接続部を点検
雨天後や結露時だけ値が下がるなら、屋外器具や接続箱への水分侵入を疑ってください。乾燥後に値が戻っても、侵入口の修理は必要です。
切り分けの途中でも、電源遮断、0V確認、測定後の放電は省略できません。
QA
テスターで代用できる?
一般的なテスターの抵抗レンジでは代用できません。絶縁抵抗計のような高い直流試験電圧をかけないためです。
配線や機器の絶縁を判定する場合は、対象に合う絶縁抵抗計を使ってください。
測定に資格は必要?
測定行為だけで、資格の要否が一律に決まるわけではありません。
ただし、分電盤を開ける、配線を外す、結線を変える作業は、電気工事士法の対象になり得ます。
未経験なら、有資格の電気工事業者へ依頼してください。
1000Vで耐圧試験できる?
1000V絶縁抵抗計で、絶縁耐力試験を代用することはできません。
高圧ケーブルや機器の状態確認には使えますが、高圧・特別高圧設備の絶縁耐力試験とは目的と条件が異なります。
絶縁抵抗計の購入結論
初心者の最初の1台には、電圧警告と自動放電を備えた機種がおすすめです。
- 住宅・店舗用で、点検対象の製造番号を確認する人にはHIOKI IR4051-11がおすすめです。
- 100V測定と時間変化を使い、保存機能が不要なら、KEW 3551で対応できます。
- KEW 3552BTは最大1000件を保存でき、記録保存と無線転送が必要な人向けです。単発用途には機能が多すぎます。
- MG102は、不要な試験電圧を無効にして誤操作を防げます。価格は5機種中で最も高くなります。
- PDM5219Sは、1000Vが不要で、電圧警告がない点を理解した経験者向けです。初心者にはおすすめしません。


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